近視の進行を抑制するのに効果があるとされる予防法です。近視は主に2つのタイプ(軸性近視、屈折性近視)があるとされていますが、その大半は軸性近視と言われています。その軸性近視に有効とされているのがオルソケラトロジーになります。
そもそも軸性近視とは、正常よりも眼軸長が長いことで網膜上よりも前に焦点が合わさってしまうことで起きる近視です。この場合、学童期(小学生)に発症することが多いのですが、単純近視(器質的障害がない状態)であれば矯正レンズを使用することで良好な視力を得られるようになるほか、20代後半になれば近視の進行も止まるようになります。ただ、病的近視(器質的障害を伴い、いくらかの視機能障害がみられる)であれば矯正レンズを装用しても視力は低下し、進行が止まることはなく、加齢性による変化も相まって様々な眼底病変がみられることがあります。
このようなリスク(病的近視の可能性)をできるだけ減らすには、学童期からあらかじめ近視の発症や進行を可能な限り予防する対策というのが重要になります。そのひとつがオルソケラトロジーです。この場合、曲率半径が装用する方の角膜よりも大きいとされるハードコンタクトレンズを就寝中にのみ装用していきます。これによって角膜の形状を変化させることで近視を改善していくというもので、眼軸長延長を抑制する効果が期待できるようになると言われています。なおオルソケラトロジーを使用するにあたっては、適応検査を行います。角膜がやわらかい時期から行えば、矯正はスムーズに進みます。
装用時の注意点ですが、1日6時間以上の睡眠時間を確保しないと矯正力が弱まる可能性があります。また装用時の異物感に慣れるまでに数日~数週間かかることもあるほか、ハードコンタクト同様のレンズケアが必要となります。治療開始後は、1週間ほど経過すると半数以上の方に、また1ヵ月後では7割以上の方の裸眼視力が1.0以上に矯正されると言われています。ちなみに個人差はありますが、オルソケラトロジーの開始から1週間程度で効果は実感できるようになります。
なお治療を途中で止めたいという場合ですが、装用を止めてから1ヵ月ほどで角膜の形状は元に戻るようになります。その後にレーシックなどの手術を行ったとしても何かしらの影響を受けるということはありません。